感動の大逆転劇でマイルCSを制したオグリキャップの次なる戦いは翌週のジャパンカップ。G1を勝って連闘という前代未聞のローテーションを選択したのです。
ファンが下した冷静なジャッジ
1989年11月26日東京10R、ジャパンカップ。連闘、しかも輸送を挟みながらプラスマイナスゼロの馬体重でオグリキャップは府中のパドックに姿を現します。年明け4戦は全て1番人気、それも全て1倍台の評価を受けてきたスターホースが、ドラマチックなローテーションで登場となれば、当然、ここでも1番人気に支持されそうなもの。しかし馬券ファンは冷静なジャッジを下します。単勝5.3倍の2番人気。ジャパンカップで後塵を拝したスーパークリークに1番人気の座を明け渡すことになりました。
空前のハイレベルメンバー
この年の3番人気ホークスターはオークツリーHで当時の世界レコード2分28秒8を樹立した馬、4番人気イブンベイは4連勝での参戦、5番人気アサティスは前走でイタリアG1勝ち。前年の覇者ペイザパドラーが6番人気、同年の凱旋門賞馬キャロルハウスが7番人気、そして毎日王冠でオグリキャップとハナ差の戦いを演じた春のG1連勝馬イナリワンが8番人気という並びからも、今の「名ばかりジャパンカップ」とは違い、いかに豪華なメンバーが揃っていた文字通りJAPAN CUPであったことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
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超ハイペースの消耗戦
レースは暴走気味に飛ばすイブンベイにホークスターが早めに並びかけ、レコードを上回るペースで展開していきます。3番手にホーリックス、その後ろでオグリキャップとスーパークリークが並んで追走。アメリカのダート競馬のようなサバイバルレースを抜け出したのはホーリックス。ステイヤーの宿命か、勝負ところで手が動くスーパークリークを尻目に、オグリキャップはグングンと差を縮めていき、最後はホーリックスとのマッチレースに持ち込みます。大川和彦アナウンサーの「オグリキャップ頑張れ、オグリキャップ頑張れ」という絶叫が響き渡りますが、クビ差まで追い詰めたところでゴールイン。着順掲示板には世界レコードを大幅に更新する、2.22.2の数字が刻まれていました。
オグリキャップ=怪物の象徴レース
オグリキャップのキャッチコピーは言わずとしれた「芦毛の怪物」。連闘で挑み世界レコードで駆けたこの一戦が、オグリキャップ=怪物というイメージを確定的にしたと思います。それほどまでに強烈なインパクトだったからこそ、初代ダビスタ(ダービースタリオン関東版)では、ホーリックスがそれこそ化け物のような強さに設定されています(笑)。
ファンのハートを鷲掴みにしたオグリキャップは、当初の予定通り、1ヶ月後の有馬記念への参戦を表明。秋6戦目、G1を4連戦、常識的にはいかにも厳しいローテーションですが、皮肉なことに、あまりにジャパンカップの走りが異次元だったため、そういった不安の声はジャパンカップの前よりも薄らいだ、そんな空気が流れていました。続く